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親が亡くなった後、すぐに実家を売却するのは難しいです。というのも、売却に先立って行わなければならない手続きが複数あるからです。実家を処分するには、様々な準備と手続きが必要で、それらには時間や労力を要します。そこで、できるだけスムーズに実家の処分を進めるためには、まずは正しい手順を理解することが不可欠です。この記事では、その手順をわかりやすく説明します。 1.遺言書の有無を確認 親が亡くなった際には、まず遺言書の有無を確認することが重要です。遺産の分割は基本的に遺言書の指示に従って行われます。 遺言書は、財産を所有していた人が遺産の分配方法を記した文書で、主に3種類あります。 1.公正証書遺言 公証人が作成する遺言書で、最も信頼性が高く、法的トラブルを防ぐために選ばれることが多い形式です。公証人役場で作成されるため、遺言内容の証拠力が強く、偽造や紛失のリスクも少ないです。 2.自筆証書遺言 遺言者が自ら手書きで作成する遺言書です。費用がかからず簡便ですが、形式に不備があると無効になる可能性があります。近年では、法務局で保管してもらうことで、手続きの確実性が高まりましたが、保管しない場合は紛失や改ざんのリスクが伴います。 3.秘密証書遺言 遺言の内容を秘密にできる形式の遺言書で、遺言者が遺言書を自ら書き、その封印された書面を公証人と証人2人の前で作成します。遺言内容は秘密にできますが、手続きが複雑で、公正証書遺言ほどの信頼性はありません。 これらはいずれも法的要件を満たしていれば有効ですが、公正証書遺言が最も利用されることが多いです。 遺言書がどこに保管されているかについては、まずは実家の金庫や重要書類が保管されている場所を探すと良いでしょう。また、親族に遺言書を預かっているかどうかも確認してみてください。 それでも見つからない場合には、公証役場に保管されている可能性があるので、問い合わせをして確認しましょう。 遺言書が存在する場合、相続財産はその遺言書に記載された内容に従って分配されます。具体的な相続分が明示されていない場合や、特定の相続人が相続分を決定する権限を持つ場合もあります。 遺言書の種類によって手続きが異なりますが、公正証書遺言や法務局に保管された自筆証書遺言は、そのまま法的効力を持ちます。それ以外の自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所で検認を受ける必要があり、その後「検認済証明書」が発行されることで有効となることが多いです。ただし、遺言書の内容が曖昧であったり、法的な形式を満たしていない場合は無効になる可能性もあります。 また、遺言書を家庭裁判所で検認を受ける前に開封してしまうと、5万円以下の過料が科せられるリスクがあるため、遺言書が見つかった場合は速やかに家庭裁判所に相談することが大切です。 遺言書が存在しない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、遺産をどのように分けるかを話し合います。相続人全員が納得できるように協議を進めることが目的です。この協議は全員が直接会って行う場合もあれば、メールや手紙を利用して行うことも可能です。 最近では、相続に関するトラブルが増えているため、両親が健在なうちに遺産分割や相続税について親族と話し合っておくことが重要です。 2.遺産分割を行う 実家を相続する際には、まず遺産分割協議を行い、相続人を確定する必要があります。 遺産分割協議は、相続人全員が集まり、遺産の分割方法について話し合うプロセスです。遺言書により特定の相続人が明確に指定されている場合は、この協議を省略することも可能です。しかし、複数の相続人がいる場合や遺言書がない場合は、協議が不可欠です。 協議が成立したら、その内容を文書にまとめた「遺産分割協議書」を作成します。この書類には、誰が何をどのように相続するかを具体的に記載し、全相続人の署名と捺印が必要です。遺産分割協議書は、不動産の名義変更や預貯金の引き出しなどの手続きにおいて非常に重要な役割を果たします。 遺産分割協議は、状況によっては短期間で完了することもありますが、相続人間で意見が対立する場合、長期化することがあります。特に、意見の不一致が深刻な場合、家庭裁判所での調停が必要となることもあります。調停には、1~2か月の準備期間が必要で、複数回行われることもあり、解決までに数年かかるケースもあります。 こうしたリスクを回避するため、早めに遺産分割協議を始めることが大切です。もし協議が難航しそうな場合や早急な解決を望む場合には、弁護士や司法書士に依頼することで、専門的なサポートを受けることができます。 遺産分割4つの方法 遺産分割には「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」の4つの方法があります。これらは、実家を誰が所有するか、そして遺産を現物やお金でどのように分配するかの違いがあります。基本的には「現物分割」や「換価分割」が推奨されますが、選択する方法によって名義の扱いが変わる点に注意が必要です。 1.現物分割 現物分割は、遺産を物理的な形で相続分に応じて分ける方法です。例えば、家、土地、現金の遺産を3人で分ける場合、Aさんが家を、Bさんが土地を、Cさんが現金を相続するイメージです。 現物分割のメリットは、実家を単独名義で所有し、売却や処分の際に決定権を一人に集中させられることです。これにより、売却に関する意思決定がスムーズに行われ、複数人の調整が不要となります。ただし、デメリットとしては、現物での分割では希望通りの相続分を得ることが難しくなり、相続人同士で揉める可能性がある点です。 2.代償分割 代償分割は、一人の相続人が遺産を受け取り、他の相続人にはその分を金銭などで補填する方法です。 この方法のメリットも、実家を単独名義で所有できるため、売却や処分の際にスムーズに進められることです。しかし、デメリットは、遺産を受け取る相続人が他の相続人に代償を支払えるだけの財力が必要である点です。 3.換価分割 換価分割は、遺産を現金化し、そのお金を相続人で分配する方法です。例えば、実家を売却し、その売却金を相続分に応じて分けるといったケースです。 この方法のメリットは、相続分を明確に分けられるため、トラブルが起こりにくい点です。一方で、遺産を現金化したくない相続人がいる場合は実現が難しくなります。また、複数人が共有名義になる場合、売却処分の際には全員の同意が必要で、時間がかかる可能性があります。 4.共有分割 共有分割は、相続人全員が遺産を共有し、持ち分に応じて利用する方法です。例えば、家や土地を共有名義にして相続する場合です。 この方法のメリットは、相続の際に金銭のやり取りが発生しないため、トラブルを避けやすい点です。しかし、デメリットとしては、将来的に相続人が増えたり、処分時に全員の同意が必要となるため、トラブルや時間のかかる手続きが発生しやすくなる点があります。 3.相続登記して名義変更を行う 遺産分割方法が決まったら、実家の名義変更、つまり相続登記を行いましょう。 相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。2024年4月1日からの法改正により、相続登記は義務化されました。このため、相続が発生した場合は3年以内に相続登記を完了させる必要があります。もし、この期限を過ぎて登記が行われない場合、10万円以下の罰金が科される可能性があります。 「自分は義務化前に相続したから関係ない」と思うかもしれませんが、注意が必要です。義務化前に相続した未登記の不動産も、義務化後は相続登記を行う必要があります。 相続登記を行う際に必要な主な書類は以下の通りです。 ・相続人全員の戸籍謄本(市区町村役場で取得) ・相続人全員の住民票の写し(市区町村役場で取得) ・被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本(市区町村役場で取得) ・被相続人の本籍地が記載された住民票の除票(市区町村役場で取得) ・固定資産評価証明書(市区町村役場で取得) ・相続関係説明図(自分で作成) ・登記申請書(法務局で取得・作成) 登記申請は、実家が所在する地域を管轄する法務局に行う必要があります。必要書類の取得や準備には時間がかかるため、計画的に進めることをおすすめします。 実家を複数の相続人で分割して相続する場合は、名義変更に相続人全員の同意が必要となり、以下の書類も追加で用意する必要があります。 ・相続人全員の印鑑登録証明書(市区町村役場で取得) ・遺産分割協議書(自分で作成) 相続登記には「登録免許税」という税金がかかります。この税額は、固定資産税評価額に税率0.4%を掛けた金額です。例えば、固定資産税評価額が2000万円の不動産であれば、登録免許税は約8万円程度になります。 さらに、登記手続きには多くの書類と時間が必要なため、多くの方が司法書士に代行を依頼しています。司法書士への依頼料を含めた相続登記の総コストは、一般的に10万円から20万円程度と見積もっておくと良いでしょう。 4.遺品整理・仏壇や神輿の引越し 実家の処分を進めるには、まず遺品整理や仏壇・神棚の移動を行い、実家を空き家の状態にする必要があります。 まず実家を売却する準備が整ってきたら、遺品整理を始めましょう。遺品整理をスムーズに進めるためには、まず片付けのスケジュールを立て、遺言書の確認や遺品の分類をしておくことが重要です。両親が生前に思い入れを持っていた物がある場合は、あらかじめ相談しながら処分の準備を進めておくと良いでしょう。 遺品整理は、自分で行う方法と業者に依頼する方法の2つがあります。 ・自分で整理する場合 自分で整理する場合は、まず不要な物を分類し、燃えるゴミやリサイクル可能な物、粗大ゴミなどに分けて処分します。特に粗大ゴミやリサイクル可能な物は、専門の廃品回収業者に依頼するのが便利です。思い出の品を処分するのは難しいかもしれませんが、現実的な収納スペースを考慮して、必要なものだけを残すことが大切です。 ・業者に依頼する場合 最近では、遺品整理業者に依頼するケースが増えています。実家が遠方にある場合や、仕事などで時間が取れない場合、業者に依頼するのも一つの方法です。一般的に、見積もりから仕分け、処分までを一括で対応してくれ、費用は25万〜70万円が相場となっています。自分で行う労力や時間を考えると、業者に依頼することでコストパフォーマンスが良くなることもあります。 実家にある仏壇や神棚は、引越しや処分の前に供養を行うことが必要です。 ・仏壇の場合 仏壇を相続人の家に移す場合は、事前にお寺の住職に供養(魂抜き)をしてもらい、移転先でも改めて供養を依頼します。処分する場合も同様に供養を行い、その後お寺や仏壇店、不用品回収業者に引き取ってもらうか、自治体の指示に従って粗大ゴミとして処分します。供養の方法は宗派によって異なるため、事前に菩提寺に確認することをおすすめします。 ・神棚の場合 神棚を処分する場合、まず神社にお札を返納し、神棚自体は神社でお焚き上げをしてもらうか、自治体の規定に従って処分します。 ・お墓の場合 先祖のお墓を移す場合は、自治体に「改葬」を申請する手続きが必要です。まずは菩提寺や墓地の管理団体に相談し、改葬の法要や墓石の解体費用についても事前に確認しておくと良いでしょう。 5.実家の購入金額がわかる資料を確認する 実家を売却する際に、まず確認しておきたいのが、購入時の金額に関する資料です。この情報は、売却後の税金を計算する上で非常に重要な役割を果たします。購入金額が明確にわかることで、売却時に発生する譲渡所得税を適切に計算し、節税効果を最大限に引き出すことが可能です。しかし、古い家や長期間保有していた不動産の場合、これらの資料が見つからないこともあります。そのため、売買契約書や工事請負契約書などの関連書類を早めに確認しておくことが重要です。この節では、購入金額を確認するための具体的な方法と、その重要性について詳しく解説します。 購入金額がわかると税金安くなる 実家を購入した際の費用が明確にわかると、税金の負担を軽減することが可能です。 家を売却した際に利益が発生すると、その利益に対して税金が課せられます。この「利益」は次の計算式で求められます。 利益 = 売却価格 -(売却にかかった費用 + 購入時の費用) 利益の額が小さいほど、納める税金も少なくて済みます。そのため、家を購入した時の費用が分かることで、結果的に節税につながるのです。 特に、古い家の場合、購入時の書類が見つからないこともありますが、実家の土地の売買契約書や家屋の工事請負契約書などの資料を探し出すことが重要です。これらの資料を確認することで、正確な利益を計算し、不要な税金を支払うことを避けることができます。 6.隣家と土地の境界が確定しているか確認する 実家を売却処分する際には、まず土地の境界が明確であることを確認する必要があります。これは、隣地との所有権をめぐるトラブルを防ぐために重要です。特に長年にわたって測量を行っていない場合、境界が不明確になっている可能性があります。 まず、確定測量図が存在するかどうかを確認しましょう。確定測量図があれば、土地の境界が明確に確定されているため、安心して売却手続きを進めることができます。 確定測量図が見当たらない場合は、境界ごとに筆界確認書や境界標があるかを調べることが必要です。筆界確認書とは、隣接する土地の所有者と合意のもとに作成された、境界を示す書類です。一方、境界標は、石やコンクリート、プラスチック、金属製の柱に赤い印が施されており、境界を示すための物理的な目印です。 また、隣地だけでなく、道路との境界も確認しておくことが重要です。道路の境界については、該当する市や県の担当部署に問い合わせて確認を行いましょう。 もし筆界確認書や境界標がない場合は、土地の正確な境界を明らかにするために確定測量を実施する必要があります。確定測量は、土地の所有者だけでなく、隣接する土地の所有者や測量士、さらには行政の立ち会いのもとで行われます。この測量には約3ヶ月の時間がかかるため、早めに確認を進めることをおすすめします。 7.処分方法を決める 実家の処分方法を選定することも重要なステップです。ここでは、実家をどのように処分するか、その選択肢をご紹介します。 仲介で売却する 築年数が浅く、しっかりと管理された状態の良い実家であれば、不動産仲介業者に売却を依頼することで、買い手が見つかる可能性が高くなります。築浅の物件は、購入後も長期間住めるため、特にリフォームや修繕が不要な場合は、購入希望者がつきやすいでしょう。 一方で、築年数が古く、住むために大規模な修繕が必要な実家は、仲介での売却が難しくなることがあります。住環境が不便であったり、修繕が必須となる物件は、一般の購入者にとって魅力的ではないからです。 さらに、仲介業者に依頼して不動産の売却をする場合、買い手を見つけるまでに通常3カ月から半年程度の時間がかかります。しかし、需要が少ない物件の場合、買い手が現れず、売却が長期化する可能性もあります。 このように、仲介での売却を成功させるには、物件が住居としての需要を満たしているかどうかが大きなポイントとなります。もし、所有する実家が老朽化しており、需要が見込めない場合は、次に紹介する「買取業者に直接売却」を検討することをおすすめします。 不動産会社に買取してもらう 築年数が古く、老朽化している実家を売却する際には、不動産仲介ではなく「専門の買取業者」に不動産を買取してもらう方法をおすすめします。 築古で状態が悪い物件を仲介業者に依頼しても、一般の購入希望者からの需要が低く、売れ残るリスクが高いからです。 一方で、専門の買取業者であれば、事業目的で不動産を買い取るため、老朽化した実家でも、そのままの状態で問題なく買い取ってもらえます。買取業者は、住居用ではなく、事業として再販や運用を目的に不動産を購入します。 例えば、買取業者は購入した物件をリフォームして賃貸物件として運用し、投資家に再販するケースもあります。そのため、物件の現状が多少悪くても、買い取りに支障が出ることは少ないのです。 空き家バンクへ登録する もし、実家の処分を急いでいない場合や、地域の活性化に貢献したいと考えている場合、実家を「空き家バンク」に登録するという方法があります。 空き家バンクは、自治体やNPO法人などが運営する、地域内の空き家情報を集めたデータベースです。このバンクに登録することで、購入希望者や借り手を探すことができます。特に地方の空き家では、移住希望者や地域再生を目的とした取り組みの一環として利用されることが多いです。 空き家バンクに登録する最大のメリットは、自治体が運営しているため、安心して利用できる点です。登録費用がかからない場合がほとんどで、自治体によっては、空き家のリフォーム費用や補助金が提供されることもあります。また、地域に貢献したいという気持ちがある場合や、急いで売却する必要がない場合には、空き家バンクは良い選択肢となるでしょう。 一方で、空き家バンクに登録した場合、すぐに買い手が見つかるわけではありません。地方や過疎地域では特に、購入希望者が少なく、登録から売却までに時間がかかることがあります。また、登録しても必ずしも売却が保証されるわけではないため、売却までのスピードを重視する場合は他の方法を検討する必要があります。 空き家バンクへの登録は、各自治体の窓口やオンラインで行うことができます。まずは、自治体のホームページなどで空き家バンクの詳細を確認し、必要書類を揃えて申し込みを行いましょう。登録後は、自治体やNPO法人が物件情報を公開し、購入希望者からの問い合わせを待つ形になります。 自治体に引き取ってもらう 使い道がなく、空き家になっている実家を自治体に寄付するという話を耳にすることがありますが、実際にはほとんどの自治体は寄付を受け付けていません。 その理由として、寄付を受け入れると自治体の収入源である固定資産税が入らなくなってしまう点が挙げられます。また、空き家の管理が必要になるため、自治体にとっては負担が増えることにもなります。 ただし、公園などの公共施設として利用できるような公益性の高い土地であれば、例外的に寄付を受け入れてもらえる場合があります。しかし、そうでない限り、寄付を受け付けてもらえる可能性は低いと考えておいた方が良いでしょう。 無償で譲渡する 実家を売却するのが難しい場合や、維持管理の負担を減らしたい場合、実家を無償で譲渡するという選択肢があります。無償譲渡とは、所有する不動産を売却価格を設定せずに他者に譲り渡す方法です。 無償で譲渡することで、固定資産税や維持管理の費用、空き家のまま放置した場合のリスクを回避することができます。また、空き家のまま放置することで起こりうる犯罪や災害リスクの軽減にもつながります。譲渡する相手が地域に住む親族や知人の場合、所有権を移すことで実家の管理が適切に行われる可能性も高まります。 譲渡の手続き 無償で譲渡する際には、通常の不動産取引と同様に、譲渡契約書の作成や登記の手続きが必要になります。譲渡契約書には、無償で譲渡する旨と、譲渡する不動産の詳細を明記します。また、譲渡後の登記手続きを行うことで、正式に所有権が相手に移転します。 解体する 建物が老朽化し、一般的な住居としての需要が見込めない場合、解体して土地だけにすることで、売却の可能性が高まることがあります。更地にすることで、買い手は自由に新築を建てることができるため、仲介での売却がしやすくなるでしょう。 ただし、解体には売主が費用を負担する必要があるため、以下の2つのリスクが伴います。 1.高額な解体費用がかかる 実家を解体するには、通常百万円以上の費用が必要です。しかし、解体したからといって必ずしも買い手が見つかるわけではなく、最悪の場合、解体費用が無駄になる可能性があります。もし売却が成功しなければ、その費用はすべて赤字となり、家計に大きな負担を与えることになります。 2.固定資産税が増額する可能性がある 建物を解体すると、「住宅用地の特例」が適用されなくなり、土地にかかる固定資産税が最大で6倍に増額されるリスクがあります。建物がある状態では、特例によって固定資産税が軽減されていましたが、建物を解体して更地にすると、この特例が解除されてしまいます。これにより、高額な固定資産税が発生し、解体後の負担が大幅に増える可能性があります。 このように、解体には高額な費用や税金のリスクが伴うため、売却を目的として解体を検討する際には慎重な判断が必要です。解体する前に、買い手の見込みや費用対効果をしっかりと考慮することが重要です。 実家を処分する流れ②売却準備 ここでは、実家を売却する際の手順を、仲介を利用した売買のケースを例に紹介します。 1.売却に必要な書類を揃える 実家を売却する際には、さまざまな書類が必要になります。これらの書類の一部は、実家がある地域の役所などで取得する必要があるため、早めに準備を進めることが重要です。 売却時に必ず必要となる書類は以下の通りです。取得に時間がかかりそうなものについては、不動産会社と相談し、必要なタイミングに合わせて集めるのが一般的です。全てを事前に用意するのではなく、必要に応じて準備を進めることが効率的です。 ・各種身分証・印鑑・印鑑証明書 ・登記済権利書(または登記識別情報) ・建築確認済証・検査済証 ・確定測量図 ・固定資産税納税証明書 ・固定資産税評価証明書 ・耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 【マンションの場合】 ・販売時パンフレット等 ・管理規約、使用細則等 ・重要事項に関する調査報告書 また、実家の購入金額が分かる書類を準備しておくと、売却時に発生する税金を抑えることができる可能性があります。売却した年の翌年に行う確定申告に向けて、購入時の売買契約書や建物の請負契約書を探しておくと良いでしょう。 不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課せられます。この譲渡所得税は、売却価格から実家の取得費や売却にかかった費用を差し引いた利益に対して課税されるため、取得費を証明できる書類があると、税額を抑えることができます。 取得費を証明できる書類がない場合、取得費は売却価格の5%として計算されます。この計算方法だと、実際の取得費よりも少なく見積もられ、結果として売却益が大きくなり、納税額が高くなる可能性が高いです。書類は可能な限り集めておくことが望ましいでしょう。 さらに、故人に借金や住宅ローンが残っていた場合、相続人がその負債を引き継ぐことになります。特に住宅ローンの場合、団体信用生命保険に加入していれば、故人の死亡時に保険金で残りのローンが完済されることが多いです。住宅ローンが残っている場合は、速やかに借入先の金融機関に確認しておくことが大切です。 2.実家の査定依頼を行う 実家を売却する際、最終的には不動産会社に査定を依頼することになりますが、その前にご自身でおおよその売却価格を把握しておくことが重要です。 まずは、実家の周辺で売り出し中の不動産を不動産ポータルサイトで検索し、価格帯を調べてみましょう。同じような広さや立地、築年数の物件を参考にすることで、ある程度の相場感を掴むことができます。特に土地の場合、坪単価(または㎡単価)を計算して、大まかな土地の相場を知ることができます。 自分でおおよその売却価格を把握したら、実家がある地域の不動産会社に相談し、詳細な査定を依頼しましょう。地域に根ざした不動産会社は、そのエリアの購入希望者の情報を多く持っており、豊富な売却実績に基づいた査定を期待できます。納得できる査定額が提示されたら、必要な書類を揃えて売却依頼の手続きに進みます。 ただし、不動産会社が提示する査定価格は、会社によって異なることがあります。通常、査定価格は3カ月以内に売却が見込まれる価格帯で設定されますが、時には他社より高い査定額を提示して依頼を受けようとする会社も存在します。このような場合、実際には問い合わせや内覧の希望が少なく、「反響がないので価格を下げましょう」といった提案を受け、結果的に時間を浪費することにもなりかねません。 そのため、査定額が高いからといって安易に判断せず、信頼できる不動産会社や担当者を選ぶことが重要です。 また、実家が遠方にある場合など、現地に頻繁に出向くことが難しい場合は、インターネットの不動産一括査定サービスを利用するのも一つの方法です。必要な情報を入力することで、早ければ当日から翌日には複数社から机上査定の結果を受け取ることができます。 この方法を使えば、大まかな相場感を把握するとともに、希望に合った査定額を提示してくれる地元の不動産会社を見つけやすくなります。なお、Web上で提示される査定額はあくまで参考値であるため、最終的には現地を確認してもらい、より正確な査定を依頼することをおすすめします。 3.査定を行う(簡易査定・訪問査定) 実家を売却する際には、まず不動産会社に査定を依頼し、その物件の価値を正確に把握することが重要です。査定には「簡易査定」と「訪問査定」の2つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、適切な方法を選ぶことで、よりスムーズに売却活動を進めることができます。 簡易査定とは、不動産会社が実際に物件を見ずに、データをもとに大まかな査定額を算出する方法です。主にインターネットや電話でのやり取りを通じて行われ、物件の所在地、広さ、築年数、周辺環境などの情報を提供することで、短時間で査定結果を得ることができます。 メリット 短時間で査定結果がわかるため、忙しい方や遠方に住んでいる方にとって便利です。 複数の不動産会社に同時に依頼できるため、各社の査定額を比較することが容易です。 デメリット あくまでデータに基づいた概算であるため、実際の売却価格とはズレが生じる可能性があります。 物件の個別の状態や周辺の細かな状況を反映しづらいため、精度に欠けることがあります。 訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、現地を確認しながら査定額を算出する方法です。物件の内外装の状態や周辺環境、リフォームの有無などを詳しくチェックするため、より正確な査定が可能です。 メリット 実際の物件の状態や特性を反映した、より精度の高い査定結果を得られます。 担当者と直接話をすることで、売却に関するアドバイスや相談がしやすいです。 デメリット 訪問査定には時間がかかるため、スケジュール調整が必要です。 不動産会社が実際に訪問するため、対応が煩わしいと感じる場合もあります。 まずは簡易査定で大まかな相場を把握し、具体的に売却を検討する際には訪問査定を依頼するのが一般的です。簡易査定で得た情報をもとに、複数の不動産会社と比較検討し、信頼できる会社に訪問査定を依頼すると良いでしょう。 実家の売却をスムーズに進めるためには、これらの査定方法を上手に活用し、納得のいく売却価格を見つけることが大切です。 4.不動産会社と媒介契約を結ぶ 複数の不動産会社に査定を依頼した後、最も信頼できる仲介業者と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産の売主が売却活動を仲介業者に依頼するための契約です。契約を結ぶ際には、査定価格だけでなく、担当者の対応やコミュニケーションのスムーズさも考慮して、信頼できる営業担当者を選ぶことが重要です。 なぜなら、売出価格は後から調整可能ですが、担当者の営業力は売主の意思では変えられないからです。売却が成功するかどうかは、営業担当者の能力に大きく依存するため、慎重に選びましょう。自分が買主だった場合、この担当者から不動産を購入したいと思えるかどうかをよく考えることが大切です。 媒介契約には、以下の3種類があります。 【専属専任媒介契約】 1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約です。契約した不動産会社は、物件を「レインズ」(不動産の流通を促進するために国土交通大臣が指定したネットワークシステム)に登録する義務があり、積極的な販売活動が期待できます。また、1週間に1回以上の販売状況の報告義務があるため、進捗状況を確認しやすいというメリットもあります。 ただし、売主自身が買主を見つけた場合でも、契約した不動産会社を通じて契約を結ばなければならない点に注意が必要です。 【専任媒介契約】 こちらも1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約ですが、売主自身が見つけた買主と直接契約を結ぶことができます。不動産会社にはレインズへの登録義務があり、積極的な販売活動が期待できます。ただし、販売状況の報告義務は2週間に1回以上となっており、専属専任媒介契約に比べて情報共有の頻度がやや低くなる傾向があります。 【一般媒介契約】 複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約です。また、売主が見つけた買主と直接契約を結ぶことも可能です。しかし、複数の不動産会社とのやり取りが必要になるため、スケジュール調整が煩雑になることがあります。また、不動産会社にはレインズへの登録義務がなく、販売活動が積極的に行われない場合もあるため、買い手が見つかりにくいことがあります。 「一般媒介契約」は多くの不動産会社に依頼できるため、売却の可能性が高まると感じるかもしれませんが、実際には各契約方法にそれぞれメリット・デメリットが存在します。信頼できる不動産会社と営業担当者を選び、売却の目的や事情を考慮して最適な契約方法を選びましょう。 5.売却活動を行う 媒介契約を結んだ後、担当の仲介業者が不動産ポータルサイトや店頭などで売却活動を開始します。これにより、買主に向けて物件情報が広く公開されます。 売主としては、内見の予約が入る前に、室内の不要な荷物や家具を整理し、できるだけ清潔で魅力的な状態にしておくことが大切です。購入を検討する買主は、実際に住むことを想定して物件を見ています。そのため、「すぐに住みたい」と思わせるような清潔感のある物件でなければ、売買契約まで進むことが難しくなります。 6.契約の締結 買い手が見つかったら、売却価格やその他の条件について交渉し、双方が合意に達した時点で売買契約を結びます。 売買契約当日には、売主、買主、そしてそれぞれの仲介担当者が集まり、契約書を取り交わします。この契約により、物件の売買が正式に成立します。 契約時には、以下の2つの金銭のやり取りが行われます。 ・買主から売主へ支払う手付金 ・売主から仲介業者に支払う仲介手数料 手付金の金額は法律で決まっているわけではありませんが、一般的には売買価格の約10%が目安となります。 また、仲介手数料の支払い義務は、売買契約が成立した時点で発生します。手数料の支払いは、契約締結時と物件の決済時に分けて行われることが一般的です。 7.決済・引き渡し 売買契約が成立した後、通常は1カ月以内を目安に、実家の決済と引き渡しが同日に行われます。 売主は、営業担当者の指示に従い、決済当日までに必要な書類(登記事項証明書や身分証明書など)を準備しておきましょう。 決済当日には、売主、買主、それぞれの仲介担当者、そして司法書士が集まり、以下の手続きを進めます。 ・売却金額の受け取り 売主は、買主から売却金額を受け取ります。 ・登記簿上の名義変更 司法書士が立ち会いのもと、売主から買主へ登記簿上の所有者名義を変更します。 ・鍵の受け渡し 売主は、実家の鍵を買主に引き渡します。合鍵も含め、全ての鍵を渡すことが必要です。 ・仲介手数料と司法書士報酬の支払い 売主は、仲介業者に残りの仲介手数料を支払い、司法書士には報酬を支払います。 これらの手続きが完了し、問題がなければ、無事に取引は終了となります。 実家を売却して売却益(譲渡所得)が発生した場合、確定申告が必要です。確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日までに、自分の住所を管轄する税務署で行います。 実家を処分するのにかかる費用は? 実家を処分する際には、売主が負担しなければならない費用がいくつか発生します。ここでは、その費用について詳しくご紹介します。 売却にかかる手数料 実家を売却する際には、さまざまな手数料が発生します。特に媒介契約での売却時に重要なものとして、仲介手数料と司法書士への報酬が挙げられます。 ・仲介手数料 仲介手数料は、不動産会社に売却活動を依頼する際に発生する手数料です。これは、物件の売買が成立した時点で支払うもので、一般的には以下の計算式で算出されます。 売却価格 × 3% + 6万円(税別) 例えば、売却価格が2,000万円の場合、仲介手数料は2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円(税別)となります。ただし、買取業者に直接売却する場合には、この仲介手数料は不要です。 ・司法書士への報酬 相続登記や名義変更の手続きは複雑で時間がかかるため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士への報酬額は、通常7万~12万円程度が相場です。 不用品の処分費用 実家の売却に伴い、残っている家具や不要な物品を処分する費用も考慮する必要があります。特に、大型の家具や電化製品などの処分には費用がかかるため、計画的に進めることが重要です。専門業者に依頼する場合、物品の量や種類によって費用が異なりますが、数万円から数十万円程度かかることが一般的です。 解体費用 もし実家が老朽化しており、建物を解体して更地にする必要がある場合、解体費用が発生します。解体費用は建物の大きさや構造、場所によって異なりますが、通常は100万円以上かかります。また、解体後の土地の整地や廃材処理にも追加費用が発生することがありますので、事前に見積もりを取ることが推奨されます。 各種税金 実家を売却する際には、いくつかの税金も発生します。主な税金を以下に紹介します。 ・登録免許税 登録免許税は、登記簿上の名義を被相続人から相続人に変更する際にかかる税金で、納税額は固定資産税評価額の0.4%です。固定資産税評価額は、毎年役所から送付される納税通知書で確認できます。 ・印紙税 印紙税は、売買契約書の作成時に課される税金です。納税額は売却金額に応じて異なり、例えば売却金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合は1万円の印紙税がかかります。 ・譲渡所得税 譲渡所得税は、不動産売却によって得た利益(譲渡所得)にかかる税金です。この税金は「所得税」と「住民税」の2つに分かれます。 譲渡所得税の計算方法は以下の通りです: 譲渡所得 = 売却金額 - (実家の取得費 + 売却にかかった費用) 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率 譲渡所得税の税率は、実家の所有期間に応じて異なります。相続した実家を売却する場合、所有期間は被相続人(親など)が実家を取得した日から計算されます。そのため、たとえ相続してから5年未満でも、親が5年以上所有していた場合は「長期譲渡所得」として扱われます。 よくある質問 ここでは、実家を処分する際によく寄せられる質問についてご紹介します。 Q1.実家の相続を放棄することは可能? 実家の相続を放棄することができるのか、不安に思う方も多いでしょう。この質問に対する答えを詳しく解説します。 A1.相続放棄は可能だがリスクもある 結論から言うと、相続放棄は可能です。実家を相続する前であれば、相続放棄を行うことで実家を手放すことができます。これにより、固定資産税を支払う義務もなくなります。 しかし、相続放棄には注意が必要です。まず、相続放棄は親が亡くなってから3カ月以内に手続きを行わなければなりません。この期間を過ぎてしまうと、相続放棄が認められなくなる可能性があります。 さらに、相続放棄には以下のデメリットもあります。 実家だけを相続放棄することはできない 相続放棄を行うと、実家だけでなく、他のすべての遺産も相続できなくなります。つまり、現金や車などの資産価値のある遺産も放棄することになるため、金銭的に不利な立場に立たされることがあります。 相続放棄後も管理義務が残る場合がある 相続放棄を行ったとしても、すぐに実家の管理義務から解放されるわけではありません。相続放棄をした場合、次の相続順位にある法定相続人が実家の管理を開始するまで、元の相続人には管理責任が残ります。たとえば、親が亡くなり子どもが相続放棄をした場合、次に相続順位の高い祖父母が管理を引き継ぐまで、子どもには管理責任が残るということです。 このように、相続放棄をすると相続財産を一切受け取れなくなるだけでなく、管理責任も残る可能性があります。結果的に、金銭的な損失や、実家の管理から完全に解放されないというリスクが生じるのです。 もし「金銭的な損失を避けつつ、実家をスムーズに手放したい」と考えているのであれば、実家の売却を検討することをおすすめします。売却することで、手間をかけずに実家を処分し、得た資金を有効に活用することができます。 Q2.実家を処分するタイミングはいつが良いの? 実家を処分するにあたって、最適なタイミングはいつなのでしょうか。この問いに対して、具体的なポイントを踏まえながら解説します。 A2.「相続発生の際」「親が介護施設に入る時」 結論として、実家を処分するのに最適なタイミングは「相続発生の際」や「親が介護施設に入る時」です。親が亡くなった後や、介護施設への入所が決まった時に、使わない実家をそのまま放置するのは避けるべきです。放置してしまうと、以下の5つのリスクが発生する可能性があります。 資産価値が下がる 実家を長期間放置すると、建物が急速に老朽化し、資産価値が低下します。定期的な清掃や換気が行われないため、湿気やカビ、シロアリの影響で柱や梁が腐食しやすくなり、不動産としての価値が下がってしまいます。その結果、将来的に売却を考えた際に、希望する価格で売れなくなったり、売却自体が難しくなることもあります。 近隣住民からのクレーム 放置された実家は、不法投棄や雑草の繁茂、害虫の発生などの問題を引き起こし、近隣住民からのクレームの原因となります。特に、不法投棄されたゴミが腐敗し悪臭を放つ場合や、庭の草が伸び放題になって害虫が発生する場合、近隣住民にとって大きな迷惑となり、所有者に対する苦情が続くことになります。 犯罪に利用されやすくなる 放置された空き家は、人目が届かないため、犯罪者に狙われやすくなります。空き家が犯罪の舞台となると、警察による捜査や現場検証が行われ、所有者が関わらざるを得ない事態になる可能性があります。さらに、犯罪が発生した物件は資産価値が大幅に低下し、売却が一層困難になることもあります。 固定資産税が課税され続ける 空き家であっても、毎年1月1日時点での所有者に対して固定資産税が課税されます。使わない実家に対しても、固定資産税評価額の1.4%が課税されるため、無駄な支出が続くことになります。放置することで固定資産税を無駄に支払う前に、早めに実家を処分するのが賢明です。 特定空き家に指定されるリスク 実家を適切に管理せずに放置していると、行政から「特定空き家」に指定される可能性があります。特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が解除され、固定資産税が最大6倍に増額されるリスクがあります。また、行政から解体や管理改善の命令が出され、これに従わない場合は、罰金や強制的な解体措置が取られることもあります。 さらに、実家を処分する際には、相続から3年10カ月以内に売却することで「取得費加算の特例」を受けることができ、譲渡所得税の負担を軽減することができます。売却時期については、不動産市場の状況や地域の地価動向を考慮し、最適なタイミングを見極めることが重要です。 家の価値は築年数とともに下がっていくため、使わない実家は早めに売却することを検討するのが良いでしょう。 空室のリスクがないオーナーチェンジ物件の購入を検討する場合には、賃貸契約書に記載がある内容から、 家賃をはじめ、入居者、保証金、店舗やオフィス、契約者、家賃のばらつきをチェックする必要があります。 これらのチェックで、相場よりかなり高い家賃の物件、保証金がない物件、店舗やオフィスの保証金や原状回復にかかる費用、 又貸しの有無、利回りになどといった検討課題をクリアしなければなりません。 家賃にはその地域ごとにだいたいの相場があり、新築からの入居者やデザイナーズ物件といった特別な理由がない限り、相場よりかなり高い家賃の物件は要注意です。 例えば、購入を検討している物件が、住みだしたばかりの入居者であった場合、現在のオーナー様が知り合いなどに依頼して、短期間だけ高い家賃で住んでもらっている可能性があります。 一方、現在の入居者がサラリーマンで、他の部屋の入居者もサラリーマンが多かった場合は、入居者間のトラブルも少ないと考えて良いでしょう。 逆に、他の部屋にファミリーでの入居者が多いと、トラブル発生の可能性があります。 保証金がなしといった物件の場合は、その物件のある地域には、優良な賃貸物件が多く、 なかなか入居者が見つからないと判断しても良いかもしれませんので、ある程度覚悟して購入する必要があります。 同一の地域にある賃貸物件のほとんどに保証金があるのに、購入を検討している物件にない場合は、毎月の家賃に分割され少しずつ上乗せされている場合もあります。 オーナー様が物件を購入後、しばらくして入居者が退去を申し出て、保証金を返還することになった場合、保証金がないと持ち出しとなってしまいます。 また、退去の際に原状回復にかかる費用の負担は、入居者になっているか、オーナー様になっているかを確認してください。 契約では、又貸しが禁止になっている物件なのに、又貸しになっている物件もありますので、表札を確認して契約者と同一がどうか確認してください。
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